縄文人も信長も食べてた!江戸時代には鯨肉のレシピ本も!
油や骨、ひげまで有効利用してきた、日本のクジラ文化は奥深いで~!
まいどおおきに。大阪の中央卸売市場で鯨肉の仲卸をやってる高浜康子です。
今年もあっという間にもう師走やね。
鯨肉や水産物の魅力をたくさんの人に伝えたくて始めたこのブログも、7回目になりました。
前回、コロのお話書いたんですけど、そのお話を読んでくださってか「本皮」にも関心いただいたようです。売れることも大切なんですけど、まずは若い人にも鯨肉のことを知って欲しいし、何かのきっかけになれば。
鯨肉を食べたことない人、長いこと食べてない人も、このブログをきっかけに興味を持ってくれたらめっちゃ嬉しいです。
さて、今回は日本のクジラの歴史について調べてみました。
日本人とクジラの付き合いって、なんと縄文時代にまでさかのぼれるって知ってました?
食べるだけじゃなく、油を使ったり骨やひげを工芸品に加工したりと、余すところなく活用してきた長~い歴史があるんですよ。
いつ頃から、鯨肉の美味しさを知ったのか?!
鯨肉のお料理ってどうやって広まったのか?!などなど調べてます。
今回は、日本のクジラ文化のお話。
ちょっと読んでみたって~。
<写真>photoAC 「太地町立くじらの博物館」
【目次】
・「鯨組」の組織的捕鯨で、庶民にも根付いた鯨食文化!
コメより古い鯨食の歴史。奈良時代にはクジラ漁も!
日本は海に囲まれた島国やから、昔から海の幸が重要な資源やったんです。
鯨食の始まりは、縄文時代の早期(約6,000~9,000年前)から。
長崎の平戸でクジラの骨格が出土して、海岸に回遊してきたり座礁したりしたクジラを食べてたことが分かったそうです。
お米を作り始めたんが弥生時代やから、それより随分前からクジラは食べられてたんやね。
食べられへん骨も、土器を作る時の土台などに利用してたそうです。
奈良時代には、銛(もり)を使ってクジラを捕まえてたんやて(驚)。
けっこう古くから、積極的に捕鯨してたんですねえ。
この時代は、どんな風に調理して食べていたんでしょうね。
<参考サイト>
・日本食品名産図鑑
・一般社団法人 日本捕鯨協会
織田信長が天皇に献上していた、貴重な海の幸・クジラ!
日本の歴史の中で、肉食を禁じられてた時代ってけっこう長かったんですね〜
飛鳥時代に仏教が伝来し、殺生禁断の戒律を守るため、675年に天武天皇が肉食禁止令を出したのがその始まりで、それから何回も繰り返し発令され、解禁されたのは明治維新後の1871年やから…
なんと約1,200年もの間、肉食禁止やってん(驚)!!
「じゃあクジラも哺乳類の動物やから、食べるの禁止やったん?」と思うでしょ?
ところが、魚介類は禁止の対象外で、クジラは大きい魚と考えられてたから食べてOKやってんて。
戦国時代には高級食材として扱われてたそうで、あの織田信長が天皇へ初鯨を献上したという記録もあるんやて!
中世、伊勢・尾張の近海ではクジラがたくさん獲れて、この地域の特産物やったみたい。
この時代では、生食や塩漬け、すき焼きにしてたらしいわ。
<参考サイト>
・入門 食の社会学
・にっぽにあ
・戦国日本の津々浦々
「鯨組」の組織的捕鯨で、庶民にも根付いた鯨食文化!
1570年頃から、クジラを銛で突き、船で引かせて弱らせ捕獲する“古式捕鯨” が始まったといわれてます。江戸時代になると、水軍から派生した「鯨組」という捕鯨集団により、組織的な捕鯨がスタート。
17世紀後半には“網取り式”という、網でクジラを囲んで銛で仕留める効率的な漁法が開発され、漁獲量が大幅に増えました。塩漬けした赤肉や皮類が全国各地へ出荷され、江戸時代中頃には庶民にも鯨食文化が根付いていったんやって。
年末12月13日の“すす払い”の後に鯨の皮の入った鯨汁を食べる慣習があったり、クジラの料理法を約70種類も紹介した『鯨肉調味方』という書物が出版されたりしたそう。
今で言うレシピ本やね。
本格捕鯨により、鯨肉は庶民の食生活を支えてきた!
幕末になると、欧米の大規模な捕鯨船団が、鯨油を目的として日本近海でクジラを乱獲し、日本の沿岸捕鯨は一時的に衰退しました。
でも明治時代に、捕鯨砲を使ったノルウェー式捕鯨法が導入されると、クジラの供給量が回復。
1906年、宮城県の牡鹿半島に捕鯨基地が完成して本格的な捕鯨がスタート。
1934年、南氷洋での母船式捕鯨に参入。
缶詰の大和煮の考案や冷凍技術の向上などによって、日本各地に赤身肉が流通するようになり、戦後の食糧難の時代も安価で栄養価の高い食材として日本人の食生活を支えてきました。
1962年までは、国民一人当たりの食肉供給量において鯨肉が牛・豚・鶏を上回っていたんですよ!
鯨肉って、重要な食べもんやってんね〜
懐かしくて新しい、鯨ベーコン紅白セットをおせちに
今の若い人は、鯨肉になじみが薄いかもしれんけど、おじいちゃんおばあちゃんやお父さんお母さんに一回聞いてみて。
鯨肉を日常的に食べてはった方、多いと思います。
昭和30〜40年代に学校給食を食べてた人のアンケートによると、最も思い出深い給食メニューは「鯨の竜田揚げ」なんやって。
家庭でも晩酌のおともに鯨ベーコン食べてた、なんて話が聞けるかも。
鯨ベーコンは、クジラの下あごから腹部にかけての波状の「畝須(うねす)」という部位から作られます。赤身と脂身のバランスが良く、独特の食感。味は意外とさっぱりとしてるけど、口の中に入れた途端、ぎゅっと凝縮された旨味とコクが一気に広がって、なんとも味わい深い風味が楽しめますよ。
うちのお店では、珍しい紅白2色のベーコンセットを販売してます。
おめでたい食材として、今度のおせちに一品加えてみませんか?
お好みでポン酢、しょうが醤油、辛子、マヨネーズなどを付けても美味しいですよ!
細かく刻んで炒飯やサラダに入れたり、厚切りでサンドイッチに挟んだり、アレンジもぜひ楽しんでみてね~。
長く続いてきたクジラの食文化を、新しい世代にもしっかり受け継いでいきたいなー!
贈り物にもぜひ!
<高浜商店の商品紹介>
懐かしの鯨ベーコン紅白セット
中央卸売市場にも、いらっしゃ〜い!②
仲卸での買い物のイメージってどうですか?
ずら〜っとお魚が店前に並んで、威勢のええお兄さんたちがジャンジャンお魚を売っていって、店の奥では注文に応じて魚さばいたりして、山のように積まれた発泡スチロールのケースが見る見る運び出されていって・・・
そんな感じイメージしません?
もちろん、そういうお店もあるけど、うちは事前に注文もろてるやつをおっちゃんたちが加工して、箱詰めして、引き取りに来た業者さんに渡して・・・って感じで、威勢は無いけど、仕事量は半端ないねんな(汗)ほんま頭下がります。
お店だけじゃなく、FAXとか電話とかでジャンジャン注文来るんを手配したりしてます。
年末は特に色々な注文もあるんで、ありがたい話ですが、嬉しい悲鳴です(笑)。
仲卸さんの店前では、現物の商品並べてるところや見本品を並べてるところとかあって、品揃えもそろぞれ。特に冷凍品を扱っているお店は見本も並べにくい分、お客様に見ていただくのも一苦労・・・
そこで!
高浜商店では、店前にショーケースを設置しました〜
色んな鯨肉を見ていただけるだけでなく、現物見ながら調理方法や食べ方とかも話せるのでとっても便利になりました。良かったらお店に来て、現物の鯨肉見ながら、お買いもんもどうぞ。待ってます〜。
そうそう、この前、市場の仲卸を紹介する番組でも取材されました。
良かったらそちらも見てください。
<鯨肉を食べるならこのお店>
大阪市西区江戸堀 「漁師酒屋 歩々(ひょこひょこ)」さん
高浜商店の鯨肉を提供くださるのが、大阪メトロ肥後橋駅から歩いて1分の所にある「漁師酒屋 歩々」さん。
ここの「鯨竜田揚げ」、食べてみて!まじで!
えっ?えっ?えっ?どうやったらこんなに美味しい竜田揚げできるの?!
こんなに美味しく食べられるなんて〜ほんま嬉しいです!
お値段少し高めと思いきや、一品一品がとってもボリュームあるので、グループとかデートとか複数人で食べるなら逆にリーズナブルじゃないかな〜しかもめっちゃ美味しいしメニューもたくさんあるんで、色々食べたくなるし、ぜひぜい大勢で行ってみてください。鯨肉もよろしくね〜!
取材に行った日も忘年会の予約とか下見とかたくさん来てはった。そりゃあ人気店になりますね!
「漁師酒屋 歩々」(営業時間:[月〜金]11:00~14:00 17:00〜23:00[土]予約のみ 定休日:日曜日・祝日)
大阪府大阪市西区江戸堀1-16-30
電話:06-6447-5505
Comments